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オンライン完結の部屋探しサービスは、外国人スタッフに使えるのか?

坪井 HaruNest
4 分前
読了時間: 8分



はじめに


「内見から契約までオンラインで完結できるなら、外国人スタッフの部屋探しも楽になるのではないか」。住居手配を担当されている方なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。


実際、賃貸のIT重説(オンラインでの重要事項説明)は2017年10月から、電子契約は2022年5月から可能になり、制度の上では「オンライン完結」はすでに実現しています。来店せずに部屋探しができるサービスも増えました。


ただ、外国人スタッフの住居手配には、オンラインかどうかとは別のところに、時間のかかる原因が残っています。

本記事では、オンライン完結サービスの現状、外国人スタッフに使うときにぶつかりやすい壁、そしてオンラインを上手に使うための考え方を整理します。





第1章:「オンライン完結」の現在地



第1節:制度上は、申込みから契約までオンラインで完結できる



賃貸の分野では、2017年10月にIT重説が本格的に運用され、画面越しに重要事項の説明を受けられるようになりました。さらに2022年5月には、重要事項説明書や契約書の電子交付、電子契約が可能になっています。

これにより、内見、申込み、重要事項説明、契約締結までを、来店も書面のやり取りもなしに進められる状態になりました。


オンライン内見やオンライン申込みに対応したサービスも増えており、一般の部屋探しでは、遠方から物件を決める人も珍しくなくなっています。

ここまでは制度と技術の話です。「実際の現場でどこまで使えるのか」は、また別の問題になります。



第2節:現場への普及は、まだ途上にある



国土交通省が宅建業者の5団体の会員を対象に行った令和6年度の調査(2025年1月実施、有効回答1,815件)では、IT重説の実績があると答えた事業者は13%、導入済みを含めても33%で、導入予定なしが66%でした。

書面の電子化も、実績があるのは9%、導入済みを含めて27%、導入予定なしが72%となっています。


なお、この数字は賃貸だけでなく売買を含む宅建業者全体のものです。

賃貸のほうが導入は進んでいるといわれますが、それでも「どの不動産会社でもオンラインで完結できる」という状況ではありません。


つまり、オンライン完結を希望しても、物件を扱う管理会社や仲介会社が対応していなければ、書面や対面の手続きが残ります。気に入った物件がオンライン非対応だった、ということは十分にあり得ます。



第3節:外国人向けのオンライン賃貸サービスも登場している



近年は、外国人本人が自分で使うことを想定したオンライン賃貸のサービスも出てきています。保証人が不要であることや、1ヶ月以上の中長期の契約に対応していること、クレジットカードで決済できることなどを特長に掲げるサービスもあります。


すでに日本で暮らしていて、物件を自分で選べて、手続きも自分で進められる人であれば、こうしたサービスは有力な選択肢になります。


一方、企業が採用した人材の住居を、入社時期に合わせて計画的に手配する場面では、使い勝手に違いが出てきます。

本人が自分で探して契約するサービスは、企業や登録支援機関が物件の条件を確認したり、契約の内容を事前にすり合わせたりする流れと、必ずしも噛み合いません。

来日前の内定者の分をまとめて手配したい、複数名を同じ時期に入居させたい、といった場面ではなおさらです。次章では、その理由を整理します。





第2章:外国人スタッフに使うときにぶつかる3つの壁



第1節:壁①「外国人可」の物件数は、オンラインでも変わらない



オンラインになって変わるのは、手続きの方法です。市場にある「外国人可」の物件の数は変わりません。


外国人スタッフの部屋探しで最初にぶつかるのは、申込みよりも前の段階です。

気になる物件を個別に問い合わせても、外国人の入居は8〜9割断られるのが実情です。この「入居できる物件を見つける」段階は、オンラインで手続きができるかどうかとは関係がありません。


ポータルサイトの検索条件でも「外国人可」を絞り込めないことが多く、掲載されている物件のうち、実際に外国人が入居できる物件はごく一部です。そのため、問い合わせて断られる、ということを繰り返しながら探すことになります。


仮に入居できる物件が見つかり、オンラインで申込みまで進められたとしても、その先の審査で不可となる可能性はあります。オンラインで手続きができるようになっても、外国人が入居できる部屋を探す手間が軽くなるわけではない、という点は押さえておきたいところです。



第2節:壁② 言語と理解の壁



IT重説は画面越しに行われ、説明は日本語が前提になりやすいのが現状です。説明を聞いても、内容を十分に理解できないまま進んでしまうおそれがあります。


電子契約も同様です。署名が簡単にできるぶん、内容を理解しないまま同意してしまいやすく、退去時の費用やゴミ出し、騒音のルールといった点で、入居後にトラブルの火種になりかねません。

対面であれば、同席した担当者がその場で補足できる場面も、オンラインでは見落としやすくなります。通訳や同席者を別に手配しておくなど、理解を補う工夫が必要です。


登録支援機関や企業の担当者が同席できる場合でも、日程の調整や、画面越しでの確認のしやすさといった点で、思いのほか手間がかかることがあります。「オンラインなら担当者の負担が減る」とは限らず、理解の確認に使う時間が、そのまま追加の手間になる場合もあります。



第3節:壁③ 審査・決済・本人確認は、オンラインにしても残る



オンライン完結で省けるのは、来店や書面の郵送、押印といった「手続きの形式」の部分です。保証会社の審査や、緊急連絡先の確認といった「中身」の部分は、オンラインでも変わりません。


来日前の海外在住者の場合は、さらに事情が重なります。

海外にいる状態で審査に対応できる物件は限られますし、管理会社や大家さんの側でも、海外からの申込みに慣れていないことが少なくありません。


決済についても、日本で使えるクレジットカードを持っていない人が多く、海外送金や、日本にいる代理人による支払いの調整が必要になることがあります。申込みから決済まで、すべてオンラインで済むとは限りません。


加えて、審査には書類が揃っていても5〜10日ほどかかることがあります。入居日が決まっている場合、審査の結果が間に合わず、入居日をずらさざるを得ないケースもあります。オンラインで申込みの時間は短縮できても、審査にかかる日数まで短くなるわけではありません。





第3章:オンラインを賢く使うために


第1節:オンラインが効く場面を見極める



ここまで壁を挙げてきましたが、オンラインに効果がないわけではありません。うまくはまる場面があります。


たとえば、来日前の内定者が、現地から物件の様子を確認したい場合です。オンライン内見であれば、渡航前に部屋の広さや周辺の環境を見ておくことができ、本人の安心につながります。企業の担当者が遠方の物件を確認する場合や、書類のやり取りや進捗の共有を行う場合も、オンラインの利便性は大きいでしょう。


また、すでに日本での生活に慣れていて、日本語での手続きにも対応できる人材であれば、オンライン完結のサービスをそのまま使える可能性が高くなります。



第2節:使う前に確認しておきたいこと



オンラインの部屋探しを外国人スタッフに使う前に、次の点を確認しておくと、後からの手戻りを減らせます。


  • 物件を扱う管理会社や仲介会社が、IT重説と電子契約に実際に対応しているか

  • 重要事項説明の際に、通訳や同席者を手配できるか。海外在住の人とのIT重説であれば、時差への配慮も必要です

  • 必要書類、決済の方法、緊急連絡先をあらかじめ揃えておき、申込みの初動で時間を取られないようにしておくこと

  • 「オンライン対応」と「外国人対応」は別物であるため、両方に対応できるかを確認すること


特に最後の点は見落とされがちです。オンラインで手続きができる会社であっても、外国人の入居に慣れているとは限りません。担当者によって回答が変わることもあるため、一度の確認で済ませず、審査の進め方や必要書類の範囲まで具体的に聞いておくと安心です。


また、電気・ガス・水道といったライフラインの手配は、物件の契約とは別に必要です。ガスの開栓は1週間前までに、水道は3〜4日前までに手続きするのが目安で、これらもオンライン完結の部屋探しの範囲には含まれないことが多いため、別に段取りを組んでおく必要があります。



第3節:「オンラインか対面か」より先に、入居できる物件を押さえる



外国人スタッフの住居手配で、いちばん時間がかかるのは、手続きの方法ではありません。受け入れてもらえる物件を見つけ、審査を通すまでの部分です。


そのため、外部のサービスを選ぶときは、オンラインに対応しているかどうかだけでなく、次の2点で比べると失敗しにくくなります。


  1. 外国人可の物件情報をスムーズに提供できるか

  2. 審査、決済、来日前の対応に、どこまで伴走してくれるか


自社で複数の不動産会社に一件ずつ当たる方法もありますが、外国人可の物件は問い合わせても断られることが多く、時間と手間がかかります。検討が長引くうちに、希望に合う物件が埋まってしまうことも珍しくありません。

オンラインはあくまで手段です。入居までのスピードは、その手段を使う前に、入居できる物件をどれだけ確実に押さえられるかで決まります。





まとめ


オンライン完結の部屋探しは、制度の上でも技術の上でも、すでに実現しています。

ただし、外国人スタッフの場合は、外国人可の物件が少ないこと、言語と理解の壁、審査や決済が残ることといった、オンライン化だけでは解消されない点があります。


オンラインは、来日前の内見や進捗の共有など、効果の出る場面で使うのが現実的です。そのうえで、手配全体のスピードを左右するのは、入居できる物件を確実に押さえられるかどうかです。


HaruNestでは、外国人の入居に前向きな不動産会社とのつながりを活かした物件の手配に加え、ライフラインの手配や、提携の専門業者による家具家電の手配まで、入居に至る実務をワンストップでご相談いただけます。来日前の方の手配や、入居日が迫っているケースなど、お困りの際はお気軽にHaruNestまでお問い合わせください。



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