外国人雇用で避けて通れない「住まい問題」|2025年版・お部屋手配の最新事情と解決策
- 坪井 HaruNest
- 10月7日
- 読了時間: 7分

外国人雇用は決まったのに、入社直前で「住む部屋がない」。
現場で今いちばんつまずきやすいのは、採用そのものより住まいの確保です。
都市圏では家賃3〜5万円のシングル向けのお部屋は少なくなり、地方でも2.5〜3万円は希少になっています。
さらに「外国人入居不可」「保証会社審査が厳しい」などのハードルも重なり、低価格+好条件などの気に入った物件ほど先着順で早く埋まるのが実情です。
本記事は、企業の人事・総務担当者や登録支援機関のご担当者が、できるだけ簡単に、確実に部屋を押さえるための実務のコツをまとめています。
第1章 急増する在留外国人と賃貸市場のひっ迫
在留外国人377万人時代の現実

在留外国人は約377万人まで増え、特定技能・留学生・家族滞在など就労につながる層も拡大しています。
飲食、製造、宿泊、介護などで単身ワンルーム需要が一気に膨らみ、企業側は「内定=住まいの確保」を急ぐ場面が増えました。住まいが決まらないと、入社日の再調整や一時滞在コストの増加、入社辞退につながりやすくなります。
採用の成功率を上げる近道は、お部屋手配の速度を上げることです。
賃料の上昇と“手が届く家賃帯”の不足

大都市では募集家賃が上がり、外国人が入居可能な3〜5万円の賃貸物件は目に見えて少なくなりました。さらに低い2.5〜3万円は地方でも見つけにくくなりつつあり、検索ではほぼ候補がでてこない状況です。
新築が無いわけではありませんが、高価格帯の新築が中心で、初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・鍵交換費)も重くなりがちです。
さらに、同じ職場で働く外国人社員をルームシェアさせる2DK以上の複数部屋ある物件については、最近テレビなどでよくニュースになる外国人トラブルの影響で、オーナー拒否されるケースが増えており、一部では物件が見つかること自体が稀な地域も出てきています。
結果、需要に対しての供給が圧倒的に不足しており、低価格+好条件の物件は競争率の高さから紹介から返事までに時間を置くほど他の申込に先を越されることが増えています。
このため、「早く決められる体制づくり」が物件確保の成否を分けます。
外国人入居のハードルと企業側のリスク

「外国人不可」の明示、在留期間・雇用形態・勤務年数を厳しく見る保証会社の審査は珍しくありません。
内見前にお断り、審査で否決、契約直前の条件変更……こうした足止めが重なると、入社延期・採用辞退・早期離職が現実味を帯びます。
ここを避ける現実的な答えが、法人契約(会社名義)で通しやすくする工夫と、紹介からの素早い返答です。
第2章 ぶつかりやすい壁と、ラクに進めるコツ
お部屋探しをスムーズにする方法と審査で見られやすいポイント

お部屋探しのスタート時でよく聞かれるのが、勤務先、日本語能力、緊急連絡先の有無です。
また、審査でよく見られるのは、在留カードの期間、雇用形態(無期/有期)、勤務年数、年収見込み、勤務先の安定性、国内の連絡先です。
スムーズに進めるには、このあたりの情報を事前に確認の上で、不動産会社に伝えるのが良いでしょう。主な工夫としては下記のようなものがあります。
法人契約にする:申込主体が会社であることを明確にし、与信の説明を簡単にできます。
入居者の日本語能力:入居後のさまざまな案内やトラブル時の会話を理解できるかを気にする管理会社・オーナーはとても多いです。
契約期間をはっきりしておく:更新の見込みを一言そえると安心感が増します。
雇用会社の基本情報を伝える:ホームページ/業種/入居者の職種/担当者名/連絡先を伝えることで申し込み後の手続きもスムーズになります。
必要書類:在留カード・パスポート・内定/雇用証明・緊急連絡先・振込口座などを、最初からまとめておくと、紹介直後に申し込みへ一気に進めます。
検討時間が短くなっている現状への向き合い方

外国人が入居可能な物件は慢性的に不足しており、同じ賃料帯で探す人が他にもいるのが当たり前の状態になっています。
取り置き不可・申込順の募集が多いため、迷っている間に他で決まってしまった……ということも多く発生します。この対策として、次のことを試してみることをお勧めします。
賃貸物件の情報をもらうときに、概算見積もりも一緒にもらって本人へ共有します。
当日〜2、3日以内に紹介された物件の中から第1〜第3希望を決めるよう本人に伝えます。
迷ったときの決め方(通勤時間/賃料/設備など)を先に決めておきます。
このような対応するだけで、あとで「初期費用が高い」、「希望物件が埋まってしまった場合にイチから検討」というムダな時間がなくなって決定までが早くなり、希望物件を押さえらえれる確率が高まります。
物件決定以降を早める進め方

その他にも、申込みから契約手続きまでを早くするために事前に準備や確認をしておくものもあります。
緊急連絡先や連帯保証人を求められることがあります。事前に緊急連絡先なら誰がなるのか、緊急連絡先なら誰がなるのかを確認して、身分証明書などをすぐもらえる状態にしておくのがベストです。企業に雇用される外国人ならご勤務先の役員や従業員が良いでしょう。
重要事項説明をどのような方法で行うかを決めておきましょう。個人契約ならオンラインで本人と3者で行うのか、法人契約なら担当者が来店して行うのか決めておけば、そのスケジュール調整もスムーズに進みます。
書類を先に揃えられるようにしておきましょう。本人の身分証コピー、内定・雇用証明書、会社情報(登記などや担当者名情報)、代表者の身分証や印鑑証明書のコピーなどをすぐに準備できるような体制にしておきましょう。
第3章 “確実に押さえる”ための手札を増やす
法人契約がいちばん確実

外国人が入居する場合、個人名義での契約よりも法人名義の方がお部屋探しは圧倒的にスムーズになります。
やはり、外国人個人での契約は信用の部分で法人よりも劣っているという事実がある為、法人契約にすることで会社の信用で審査が通りやすくなります。
また、お部屋探しの段階から契約をする会社名や担当者名を伝えておくことで、不動産会社の安心感が増します。
重要事項説明や鍵渡しの段取りも、法人名義のほうが話が早い場合が多いです。
シェアハウスはあまりおすすめできない?

初期費用や設備面のメリットはありますが、共用部分が多いために生活音・衛生・備品・金銭・入居者間などのトラブルが起きることもあり、長期間での利用を考えている場合は、あまりお勧めしません。やむを得ず使うときは短期の“つなぎ”に限定し、個室確保・ルールの明文化・相談窓口の明示などの条件をはっきりさせてから使うのが安全です。
社外の力もうまく使う

外国人物件に強い仲介業者と提携をしておくと紹介スピードが上がる可能性はあります。しかし、仲介業者1社では出てこない物件というのも実際にあるのが外国人のお部屋探しです。
そこで、Welcome Nest Japan のように複数の仲介業者からお部屋の紹介を受けられる外国人向けお部屋探しサービスを利用する方法もあります。近年このようなサービスも増えてきていますので、導入コストや実績などを元に検討するのも良いでしょう。
まとめ:むずかしく考えず、「紹介から返事まで」を速く!
需要>供給という状況はしばらく続くと思われます。希望条件に合う、外国人が入居可能なお部屋が少ない今は、早く返事をする人が有利です。やることは多くありません。
法人契約を基本線にする
どの条件を優先するか、妥協するのか決めておく
申込書類等を揃えておく(在留カード・パスポート・内定/雇用証明・給与見込・会社情報・緊急連絡先)
物件情報とあわせて概算の見積書ももらう
紹介された物件のうち、第1〜第3希望を当日〜2、3日で決める
「紹介→検討→返事→申込」を素早く回す――まずはここだけ意識してください。外国人雇用の現場でも、お部屋探しはスピードと段取りで結果が変わります。今日からできる小さな前倒しで、希望の物件を先に押さえるチャンスは確実に増えます。
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