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外国人の部屋探しで不動産会社が困っていること——知っておきたい業界の常識

  • 坪井 HaruNest
  • 3 分前
  • 読了時間: 10分

「良い物件が見つかりません」

「不動産会社からの紹介が止まってしまいました」

——外国人材の住居手配を担当していると、こうした壁に突き当たることがあります。


実はその背景には、不動産会社側が「困っている」けれど表立っては言いにくい事情が数多く存在します。


その中で外国人を雇用する企業の担当者様や登録支援機関の担当者様が見直せる要因として見過ごされがちなのが、「不動産会社との関わり方」と「相場感のズレ」です。


法人契約であっても、住宅手当の上限や担当者自身の感覚値が実際の市場賃料と乖離しているケースは少なくありません。さらに、知らず知らずのうちに不動産業界のルールやマナーに反した対応をしてしまい、不動産会社側のモチベーションを下げていることもあります。


本記事では、耳に痛い内容や「そんなことは知っている」と思われる内容があるかもしれませんが、日本のお引越しシーズンが終わったこの時期に、あえて不動産会社が「実は困っている」と感じる行動や状況を具体的に整理しながら、住居手配をスムーズに進めるために知っておきたい業界の常識をプロフェッショナルな視点から解説します。





第1章:不動産業界で最も忌み嫌われる「ルール違反」とは


住居手配がうまくいかない原因の一つに、「担当者が気づかないまま業界のルールを破ってしまっている」というケースがあります。不動産仲介の現場には、信頼を瞬時に、かつ修復不可能なほど壊してしまう行為が存在します。それは、不動産会社の「利益の源泉」を脅かす不義理な行動です。




第1節:信頼を根底から壊す「抜き行為」と「飛ばし」の正体


不動産業界で最大の禁忌とされるのが「抜き行為」です。

特定の仲介会社から物件紹介や内見案内を受けながら、契約直前で別の仲介会社に乗り換えたり、オーナーと直接契約を結んだりする行為を指します。


理解しておくべき前提は、不動産仲介業は「完全成功報酬型」であるという点です。

物件情報の収集、現地への同行、オーナーへの条件交渉まで、契約に至るまでの作業はすべて「無料」で行われています。実務を担った担当者を「飛ばして」契約することは、不動産会社から見れば「タダ働きをさせた上に、正当な報酬を奪う行為」に他なりません。


一度でもこれを行うと、二度と協力を得られないだけでなく、業界内での悪評拡散も覚悟する必要があります。継続的に発生する住居手配業務だからこそ、こうした「取り返しのつかない失点」は特に致命的です。





第2節:マナー違反になりかねない「相見積もり」の境界線


複数の会社を比較する「相見積もり」自体は正当な行為です。

しかし、賃貸仲介においてはその「タイミング」と「透明性」が問われます。


相見積もりは必ず「内見前」に行うのが鉄則です。内見まで案内させた後に同じ物件を他社で申し込むことは、「抜き行為」と見なされる可能性が高いからです。


誠実な対応とは、あらかじめ「複数社で検討しています」と明示することです。事前に開示することで担当者も競争力ある提案を出しやすくなり、貴社にとっても有利な条件を引き出しやすくなります。また「他社とも比較している」という事実は、担当者の「この顧客を逃したくない」という動機付けにもなります。





第3節:「黙っていればわからない」は通用しない——REINSという業界共有網の存在


不動産業界には、指定流通機構(REINS:レインズ)と呼ばれる物件情報の共有システムが存在します。宅地建物取引業法に基づき、媒介契約を締結した物件は原則としてREINSへの登録が義務付けられており、全国の不動産会社がリアルタイムでその情報を参照できます。


つまり、ある物件がいつ登録され、いつ頃成約したかは業界全体に筒抜けです。

「内見まで案内したのに別の会社で契約が入った」という動きは、元の担当者に即座に伝わります。「黙っていればわからないだろう」という認識は完全な誤りです。


さらに、不動産業界は地域ごとのコミュニティが強固で、担当者同士が日常的に情報交換をしています。REINSの動きだけでなく、口コミやポータルサイトの掲載状況の変化からも、不誠実な動きはすぐに察知される可能性が高いです。


一度「ルールを守らない」というレッテルを貼られると、その評判は地域の不動産会社全体に広まりかねません。「一度きり」の不義理が、その後の複数案件すべてに影響することを強く意識してください。







第2章:不動産担当者が「二度と手伝いたくない」と感じる対応


不法行為に至らなくとも、実務上の不作法は担当者の意欲を著しく削ぎ、結果として「良い物件が回ってこない」という不利益を招きます。担当者を動かすのは義務ではなく「意欲」であることを忘れてはなりません。



第1節:申し込み後の「ドタキャン」が招く深刻な弊害


入居審査が進んだ段階や契約直前でのキャンセルは、関係者全員に多大な損害を与えます。担当者の労力が無駄になるだけではありません。より深刻なのは、「仲介会社の信用がオーナーの前で失われる」ことです。


仲介担当者はオーナーに「この企業なら安心です」と太鼓判を押して交渉しています。

そこでキャンセルが発生すると、オーナーは「この法人は読めない」と判断し、その影響は当該物件にとどまらず、担当者が持つ他の物件情報の提供にも波及します。


一件のキャンセルがその後の複数案件を難しくするということを、十分に理解しておく必要があります。





第2節:レスポンスの遅れと「うやむや終わり」が積み重なると協力は得られなくなる


不動産取引はスピードが命です。折り返しが数日後、書類提出が期限超過といった対応はあまり良い印象を与えません。

好条件の物件は数日あるいは数時間単位で他の申込者に奪われます。連絡が遅く機会を逃し続けると、担当者は「この会社に時間を使っても成約につながらない」と判断し、紹介の優先順位を自然と下げていきます。


さらに深刻なのは、「結局どうなったかわからないまま終わる案件」が積み重なるケースです。


返事がないまま「あの話はなくなりました」と一言だけ、あるいは何の連絡もなく自然消滅——こうした対応を繰り返す企業は、担当者の中で「動いても無駄になる顧客」として分類されていきます。

「結果を必ず報告する」、「連絡はその日のうちに返す」という習慣を組織として徹底することが、長期的な協力関係を維持する基本です。





第3節:相場を無視した依頼は、担当者のモチベーションを静かに奪う


「予算は〇万円以内で、築浅・駅近・広めの物件をお願いします」——

一見普通の依頼でも、条件がエリアの相場から外れていれば、担当者は「この条件では成約できない」と感じています。


法人契約であっても、住宅手当の上限や担当者自身の感覚値が市場賃料と乖離しているケースは少なくありません。さらに外国人入居可の物件はもともと選択肢が限られており、相場より安い賃料での成約は難易度がさらに上がります。ポータルサイトで検索すると物件がヒットするように見えても、その多くは「外国人不可」であり、実際に交渉できる物件数は大幅に絞られます。


ここで見落とされがちなのが、希望条件が「外国人本人から出ている」ケースです。本人が自国での検索や知人からの情報をもとに「この予算でこんな部屋が借りられるはず」という認識を持って来日することは少なくありません。その条件をそのまま不動産会社に伝えてしまうと、現実とかけ離れた依頼になってしまいます。


担当者が間に入る役割の一つは、本人の希望と市場の現実をすり合わせ、「交渉可能な条件」に整理して不動産会社に伝えることです。本人への事前説明も含めて、担当者が主導権を持って進める姿勢が重要です。


こうした現実を踏まえず「1部屋でもあれば」という感覚で複数社に同じ依頼を投げ続けることを、不動産業界では「ユニコーン探し」と呼ぶことがあります。

どの担当者からも「また来た」と思われるだけで、優先的に動いてもらえる可能性はどんどん下がっていきます。

相場感を把握するには、依頼先の担当者に「外国人入居可の物件で、この条件に近いものはどのくらいの賃料帯になりますか?」と率直に聞くことが最も確実です。その情報をもとに社内予算と照合し、乖離があれば経営層に予算修正を提案することも、住居手配担当者の重要な仕事の一つです。







第3章:不動産会社を「最強の味方」に変えるためのアクション


不動産会社は、誠実なパートナーに対してはオーナーへの粘り強い交渉や非公開物件の優先提供など、最大限の支援をしてくれる存在になります。ここでは「どうすれば積極的に協力してもらえるようになるか」を具体的に解説します。



第1節:「継続的な依頼先」であることを明確に伝える


外国人を複数名雇用している、あるいは今後も継続的に受け入れる予定がある企業や登録支援機関は、不動産会社にとって「長期的なビジネスパートナー候補」です。

この点を最初の打ち合わせで明確に伝えることで、担当者のモチベーションは大きく変わります。


「年間で〇名程度の住居手配が発生します」「更新のタイミングにもご相談したい」といった情報を共有することで、担当者は「この顧客のために時間を使う価値がある」と判断します。

単発案件として扱われるか、継続顧客として扱われるかで、提供される情報の質と量には明確な差が生まれます。自社の採用計画や支援規模を初回に共有することが、信頼関係構築の最初の一手です。





第2節:「80点で合格」とする決断力が、担当者を本気にさせる


第2章第3節で述べたとおり、ユニコーン探しは担当者のモチベーションを奪います。では逆に、「現実的な条件で素早く決断できる顧客」は担当者にとってどう映るでしょうか。答えは明確で、「最優先で動きたい顧客」です。


成功の鍵は、「80点で合格」とする妥協点を社内で事前に合意しておくことです。

特に特定技能外国人の受け入れでは、「居室面積が1人当たり7.5平米以上という法的制約(特定技能1号の規定)を遵守しつつ、現実的な相場に基づいた判断が求められます。


「駅から少し遠くても通勤手段が確保できればよい」「家賃を抑える為に電車通勤も可にする」といった形で優先順位を整理しておくだけで、担当者は格段に動きやすくなります。


「良い物件が出たらすぐに連絡してほしい」と依頼したうえで、連絡が来たときに即座に動ける社内決裁フローを整えておくことも重要です。担当者は「すぐ動いてくれる会社」に真っ先に情報を持ってきます。条件の柔軟さと判断のスピードが、好条件の物件を手にするための最大の武器です。





第3節:誠実な「お断り」が次の紹介を生む


すべての提案が成約に至るわけではありません。

しかし、お断りする際の対応こそが「プロ」としての真価を示す場面です。最も避けるべきは、返事をせず放置する「ゴースト化」です。結果がわからないまま放置されることは、担当者の「次の案件を紹介する気持ち」を大きく削ぎます。


契約に至らない場合は、誠実な理由を添えて早急に連絡してください。

  • 「他社で通勤時間や日当たりの条件がより希望に沿う物件が見つかったため」

  • 「採用計画の変更により、今回の入居を見送ることになったため」

明確な理由があれば担当者は納得して次の案件に集中できます。「迅速かつ丁寧に断る」ことで、担当者は「誠実な顧客だ。次は真っ先に紹介しよう」という意欲を持ってくれます。一件一件の「締め方」が、長期的な関係の質を決めるのです。






まとめ


外国人材の安定した定着のために「住まいの確保」が重要であることは、この記事を読んでいる方には改めて言うまでもないでしょう。

問題は「どうすれば確保できるか」であり、その答えの大部分は不動産会社というパートナーとの関係性の中にあります。


相場を正確に把握した予算設定、業界ルールを踏まえた誠実な対応、継続的なパートナーとしての姿勢——

これらを実践することは単なる「礼儀」ではなく、競合他社に先んじて優良物件を確保し、採用競争力を高めるための「経営戦略」そのものです。


ただし、こうした対応を複数の不動産会社に対して同時並行で実践し続けることは、本来業務を抱える総務・人事担当者や登録支援機関の担当者にとって、決して小さな負担ではありません。不動産会社ごとの関係構築、相場感の把握、連絡対応の徹底、条件交渉——これらをすべて自社で担うには、相応の時間と経験が必要です。


HaruNestでは、こうした外国人材の住居手配にまつわる一連の業務を、企業や登録支援機関に代わって担う専門会社です。不動産会社との信頼関係をすでに構築しているため、担当者の業務負担を大幅に軽減しながら、スムーズな住居確保を実現します。外国人材の受け入れに伴う住居手配でお困りの方は、ぜひ一度HaruNest合同会社のホームページをご覧ください。



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