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外国人の入居を断る大家の本音ランキング|人事・登録支援機関が知っておくべき賃貸の現実と解決策

  • 坪井 HaruNest
  • 5月27日
  • 読了時間: 21分

はじめに


外国人材の受け入れが加速する日本において、住居の確保は採用後の最初の関門です。

厚生労働省の2026年1月の発表によると、2025年の外国人労働者数は257万人を超え、集計開始以来初めて250万人の大台を突破しました。


企業の人事総務担当者や登録支援機関の方々が外国人スタッフの住居探しに奔走する場面は、もはや日常的な光景になっています。


しかし現実は厳しく、外国人が入居できる賃貸物件は全体のわずか15%程度(エイブルホールディングス調査)にすぎません。法務省の全国調査では、外国人の約39.3%が「外国人であることを理由に入居を断られた経験がある」と回答しており、日本語が流暢に話せる外国人でさえ断られるケースが後を絶ちません。


では、なぜこれほど多くの大家・物件オーナーが外国人の入居を拒否するのでしょうか。

本記事では、外国人受け入れに関する制度が相次いで見直されている現状を踏まえ、あらためてオーナー側の「本音」をランキング形式で掘り下げ、人事・登録支援機関の担当者が現場で活用できる実践的な知識と解決策をお伝えします。





第1章:大家が外国人入居を拒否する理由【経済的リスク編】



第1章 第1節:第1位|家賃滞納のリスク 


大家が外国人入居を断る理由の断トツ1位が、家賃滞納に対する不安です。


外国人入居者の中には来日間もない留学生や技能実習生、特定技能労働者も多く、日本国内での収入基盤が安定していないケースが少なくありません。日本での信用履歴がなく、収入証明書の取得も難しい場合があるため、オーナーから見ると「返済能力が見えにくい入居者」という印象を持たれがちです。


滞納が続いた場合、外国人入居者とのコミュニケーションがうまく取れないまま問題が長期化し、最終的に法的手続きに発展するケースもあります。日本語での督促が伝わらない、連絡が取れなくなるといった事態は、国内に身元保証人がいない外国人入居者ならではのリスクとしてオーナーに強く意識されています。

「一度トラブルを経験した大家は二度と外国人を入れない」という声も珍しくありません。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 法人契約(借り上げ社宅)への切り替えを検討する 

最も効果的な対策のひとつが、外国人本人ではなく雇用企業が契約者となる「法人契約(借り上げ社宅)」の活用です。個人契約に比べて信用力が格段に上がり、審査が通りやすくなります。法人名義で契約することで、家賃の支払い能力についてもオーナーは安心感を持てます。

また、従業員の退職・帰国時にも企業側が解約手続きを主導できるため、滞納が長期化するリスクを大幅に下げられます。

② 採用の段階で住居費用の負担能力を確認する 

外国人本人が個人契約で入居する場合、家賃を継続的に支払えるだけの収入があるかどうかを採用前段階で確認することが重要です。

「月収の3分の1以下が家賃の目安」という考え方を基準に、想定される給与水準と居住エリアの家賃相場を照らし合わせ、無理のない条件で働ける外国人を採用することが、長期的なトラブル防止につながります。

③ 給与振込のタイミングと家賃引き落とし日のズレをなくす 

家賃滞納の原因のひとつに、給与の支払日と家賃の引き落とし日のタイミングのズレがあります。特に来日直後は銀行口座の開設が遅れ、振替口座への入金が間に合わないケースも発生します。

企業として給与支払日と引き落とし日の関係を事前に確認し、必要であれば管理会社と引き落とし日の調整ができるか相談しておきましょう。




第1章 第2節:第2位|言語の壁・コミュニケーション不安


オーナーが外国人入居を敬遠する大きな理由として、「何かあったときに話が通じない」という不安が常に上位を占めています。


トラブルが起きたとき、修繕の依頼をするとき、更新の手続きをするとき、退去の案内をするとき——賃貸管理には日常的にコミュニケーションが発生します。

日本語が十分に話せない入居者との間でこれらをこなすことへの心理的ハードルは、特に個人オーナー(いわゆる「地主大家」)にとって非常に大きなものです。


「日本語が話せると説明しても、外国人というだけで断られた」という声(YOLO JAPAN調査)が多く寄せられており、コミュニケーション不安は単なる言語の問題にとどまらず、「何かあったときに対処できない」という根本的な不安の表れでもあります。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 企業・機関の担当者を「オーナーとの連絡窓口」として明確に位置づける 

物件の申し込み時に「何かあれば日本語で対応できる担当者がいます」と伝え、担当者名・直通の電話番号・メールアドレスを書面で提出することが有効です。

オーナーが「外国人入居者に直接連絡しなくていい」と感じられるだけで、入居承諾のハードルが下がります。書類提出の際に「困ったことがあれば何でもご連絡ください」という一文を添えるだけでも、オーナーの心理的不安はかなり和らぎます。


② 入居者の日本語レベルと対応可能な内容を事前に伝える 

「日常会話は可能」「読み書きは難しい」「緊急時は通訳を介して対応します」など、入居者の実際のコミュニケーション能力を正直に伝え、オーナーが期待する場面でどのような対応ができるかを明示しておきましょう。

不安をあいまいにしたまま進めるより、正直に状況を伝えたうえで解決策を示す方が、長期的な信頼関係につながります。入居者本人の日本語能力検定(N3以上など)の有無を伝えると、より具体的な説明になります。


③ 入居後のトラブル対応は企業・機関が一次窓口を担う旨を約束する 

「入居者が何かトラブルを起こした場合、まず弊社(弊機関)に連絡いただければ対応します」という書面を物件申し込み時に提出することで、オーナーの「万一のとき誰に言えばいいのか」という不安を解消できます。

実際に連絡が来たときに迅速に動ける体制を整えることで、オーナーからの信頼を積み上げていくことができます。




第1章 第3節:第3位|ゴミ出し・騒音・においトラブルへの不安


日本賃貸住宅管理協会の調査では、外国人入居者に関するトラブルを経験した大家の割合は52.7%に達しており、その最多がゴミ出し・騒音・においに関するマナー問題です。


ゴミ出しトラブルは特に多く報告されています。日本のゴミ分別は自治体ごとにルールが細かく、曜日指定・時間帯指定・分別方法など、母国では経験したことのない複雑なルールを初めて来日した外国人が自力で習得するのは容易ではありません。


騒音トラブルについては、夜間の会話・パーティー・生活音に対する感覚が文化によって大きく異なります。日本の集合住宅で求められる静粛性のレベルは、多くの外国人にとって想定外に高く、悪意なくトラブルになるケースがほとんどです。


においトラブルは、香辛料やお香を日常的に使用する文化圏の入居者に多く見られます。これもオーナーが「外国人は部屋が汚れる・においが残る」という先入観を持つ一因になっています。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 入居時にゴミ出しルールを必ず手渡しで説明する 

自治体が発行しているゴミ収集カレンダーや分別ルール表は、多言語版が用意されているケースも増えています。

入居当日に現物を渡しながら説明する「手渡し+口頭説明」がもっとも定着しやすい方法です。「資料を置いておけばわかるはず」という前提は禁物で、最初の1回は必ず担当者が同席して説明するようにしましょう。


② 生活ルールを記載した「入居のしおり」を自社で作成・配布する 

ゴミ出しだけでなく、騒音・水回りの使い方・共用部分のルール・来客の制限などを一冊にまとめた「入居のしおり」を自社で作成しておくことを強くおすすめします。

外国人労働者を継続的に受け入れる企業・機関であれば、一度作成してしまえば繰り返し使えるコストパフォーマンスの高いツールになります。英語・ベトナム語・中国語・タイ語・ミャンマー語など、受け入れている国籍に合わせた多言語版を用意できれば、さらに効果的です。


③ 入居後もフォローアップの機会を設ける 

入居後1〜2週間を目安に「生活に慣れているか」「近所とのトラブルはないか」を確認するフォローアップを行うことで、問題が小さいうちに対処できます。

外国人本人が「問題を言い出しにくい」と感じていることも多いため、機関や担当者から積極的に声をかける姿勢が重要です。特定技能の支援計画においても定期面談が義務付けられていますが、それを待たず日常的にコンタクトを取ることが早期発見につながります。






第2章:大家が外国人入居を拒否する理由【制度・契約リスク編】



第2章 第1節:第4位|日本人の保証人がいない問題


法務省調査では、外国人が入居を断られた理由として「日本人の保証人がいないこと」を挙げた回答者が41.2%にのぼり、滞納リスクと並ぶ経済的ハードルになっています。来日したばかりの外国人が日本人の連帯保証人を見つけることは、現実的にほぼ不可能です。


近年は個人の連帯保証人に代わり、家賃保証会社の利用が普及しており、外国人専門の保証会社も増えています。弊社の提携先のグローバルトラストネットワークス(GTN)は累計20万件以上の外国人向け保証実績を持ち、25言語対応のコールセンターも備えています。


ただし保証会社はあくまで管理会社・オーナー側が指定するものであり、借りる側が「この保証会社を使います」と指定できるわけではありません。保証会社の利用が前提になっている物件・管理会社を探すことが、現実的な解決策になります。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 外国人専門の保証会社と提携している管理会社・物件を探す 

「保証人が必要」な物件を交渉で突破しようとするのではなく、はじめから外国人向け保証会社(GTN・いえらぶ保証など)と提携している管理会社・仲介会社が扱う物件を対象に探すことが効率的です。

WelcomeNestJapanのような外国人専門のお部屋探し窓口を活用することで、こうした物件に絞り込んで提案を受けることができます。


② 法人契約で企業が保証主体になる形を検討する 

外国人本人に保証人を立てさせることが難しいなら、雇用企業が契約者となる法人契約に切り替えることが根本的な解決になります。法人名義の契約では企業自体が信用力を担保するため、個人保証人の問題を回避できます。

受け入れる外国人の人数が多い企業・機関であれば、複数の物件を法人契約でまとめて確保する方法が現実的な選択肢です。


③ 審査書類を一式パッケージにして即応できる体制を整える 

物件が見つかった段階で審査が遅れると、その間に他の入居希望者に先を越されてしまいます。パスポート・在留カード・雇用契約書・収入証明・在職証明など、審査に必要な書類を入社時点でコピーしてまとめておき、いつでも提出できる状態にしておくことで、申し込みのスピードを大幅に上げることができます。




第2章 第2節:第5位|無断又貸し(また貸し)への警戒


外国人の入居拒否理由として近年注目されているのが、無断又貸し(転貸)への警戒感です。

母国では「知人に部屋を貸す・一緒に住む」ことが当たり前の文化圏も多く、日本の賃貸借契約において無断転貸が禁止されていることを十分に理解していないケースがあります。


契約者以外の人物が住んでいることが発覚すると、即時退去を求められる事態に発展することもあります。

また法的に見ても、無断転貸に関するトラブルは処理が非常に複雑です。裁判の判決は被告(契約者)にしか効力が及ばないため、実際の占有者(転貸入居者)を退去させるためにはあらためて訴訟を起こす必要があり、大家側の負担が大きくなります。


🔴 民泊のルール違反が不動産市場全体に悪影響を与えている


転貸に対する警戒がさらに強まっている背景として、民泊をめぐるルール違反の問題が不動産業界全体に影を落としていることが挙げられます。


外国人が契約した物件を無届けで民泊として使用する、または個人事業主が物件を契約してAirbnb等に掲載、その利用者がトラブルを起こすなどといったケースが社会問題化し、それに関連して管理会社やオーナーの間で「外国人が入居する部屋の契約を、直接雇用関係のない法人・個人事業主がするのは避けたい」という意識が広がっています。

こうした一部の事例が、真剣に住居を探している外国人労働者全体に対する不信感として波及してしまっているのが現状です。


その結果、登録支援機関や個人事業主が物件を借り上げて外国人に提供しようとすると、審査の前にオーナーや管理会社に断られるケースが増えています。

「支援機関名義で借りれば外国人も入れる」という手法は、以前は有効な場面もありましたが、現在は管理会社側もこの手法を把握しており、むしろ警戒されるようになっています。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 入居時に「無断転貸禁止」を契約書とともに多言語で明確に説明する 

契約書に「転貸禁止」と書かれていても、外国語で意味が十分に伝わっていないケースが多くあります。入居当日に担当者が同席し、「契約者以外の人がこの部屋に住むことはできません」「民泊・ゲストの長期滞在も禁止です」という点を母国語で明確に説明し、理解した旨を確認書にサインしてもらうことが有効です。


② 居住予定人数・入居者の氏名を申込時点で正確に申告する 

「とりあえず1人で申し込んで、あとで同居させる」という流れを防ぐため、同居者がいる場合は申込段階で全員の氏名・在留資格を申告するよう指導しましょう。後から発覚した場合は即時退去になるリスクがあり、企業・機関の信用にも関わります。


③ 支援機関の借り上げではなく、外国人本人または受入企業名義での契約に切り替える 

登録支援機関が物件を借り上げて外国人に提供するという手法は、現在の市場ではお断りされるケースが増えています。

住居確保の責任を果たすためには、外国人本人が個人で契約できる物件を探すか、受入企業が法人契約(借り上げ社宅)として契約する形に移行することが現実的な対策です。

登録支援機関としては「住居確保の支援」を担いつつも、契約の主体は本人または受入企業になるよう誘導していくことが、今後の標準的なアプローチになっていくと考えられます。




第2章 第3節:第6位|無断退去・夜逃げ・原状回復トラブルへの警戒


日本の賃貸では退去時に「解約の事前予告(通常1〜2ヶ月前)」と「原状回復(部屋を入居前の状態に戻すこと)」が義務となっています。しかし、これらは多くの外国人にとってなじみのない日本独特のルールです。


特に問題になるのが無断退去・夜逃げです。在留期間の満了や雇用契約の終了をきっかけに、解約予告なしで突然退去し、そのまま帰国してしまうケースが実際に報告されています。

本人と連絡が取れなくなった後に残った家賃の未払い分や残置物の処理費用をオーナーが丸ごと負担しなければならない事態は、「外国人入居者のリスク」として大家の間で広く共有されています。


また原状回復のルールについても、海外では家具・家電付きの物件が主流であることも多く、「そのまま置いていけばいい」という感覚で荷物を残して帰国してしまうケースが報告されています。

残置物の処理費用や清掃費用をめぐるトラブルは、大家にとって「外国人入居者は原状回復をしてくれない」という印象を植え付ける要因になっています。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 入居前に退去手続きの全流れを書面で説明する

「退去の何日前までに連絡が必要か」「どのような状態で部屋を明け渡す必要があるか」「精算はどのように行われるか」——これらを入居のしおりや退去ガイドとして多言語でまとめ、入居初日に渡しておくことが理想です。

退去時に初めて知るのではなく、最初から「ルールとして知っている」状態にしておくことが重要です。特定技能の支援計画に基づく生活オリエンテーションの際に、退去手続きについても必ずふれるようにしましょう。


② 退職・帰国が決まった時点で即座に退去スケジュールを確認する

外国人労働者が帰国や転職を決めた場合、企業または登録支援機関が速やかに「住居の退去手続きはどうするか」を確認するフローを社内に設けておきましょう。解約予告のタイミングを逃すと、帰国後も家賃が発生し続ける事態になります。

退職・帰国の申告を受けた翌日には住居の担当者に連絡するくらいのスピード感で動くことが理想です。退職の申し出があった段階で住居の退去手続きを同時に進めることを、社内ルールとして明文化しておきましょう。


③ 退去立ち会いに担当者が同席できる体制を整える

退去時の立ち会いは、原状回復の範囲・費用負担をめぐってトラブルが起きやすい場面です。外国人本人だけでは交渉が難しいため、企業・機関の担当者または通訳のできる人物が同席し、清算内容をその場で確認・合意する体制を整えておきましょう。

退去後の費用精算についても、帰国前に完了できるよう日程を逆算して動くことが大切です。





第3章:大家が外国人入居を拒否する理由【生活環境・法的リスク編】



第3章 第1節:第7位|在留資格切れ・不法滞在への不安


大家やオーナーにとって、外国人入居者が知らぬ間に在留資格切れの状態になってしまうことへの懸念も根強くあります。


在留資格が切れると賃貸契約を継続することが困難になるだけでなく、状況によっては「不法滞在と知りながら部屋を貸していた」とみなされ、貸主側も責任を問われる可能性があります。個人オーナーにとっては法的リスクの判断が難しく、「よくわからないから最初から外国人には貸さない」という判断につながっています。


特に在留資格の更新忘れや、転職による就労資格の変更をオーナーに報告しないケースが問題になりやすく、管理会社を通じた定期的な在留資格確認が求められる時代になっています。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 在留カードの有効期限を社内・機関内で一元管理する 

外国人スタッフ全員の在留カードの有効期限をExcelや管理システムで一覧化し、期限の3〜4ヶ月前にアラートが出る仕組みを作りましょう。

本人任せにしていると更新忘れが発生するリスクがあり、企業・機関が積極的に管理する体制が求められます。特定技能の在留資格は更新手続きに時間がかかるケースもあるため、余裕をもって動き出すことが重要です。


② 在留資格更新後はオーナー・管理会社に速やかに通知する 

在留資格の更新が完了したら、新しい在留カードのコピーを管理会社に提出することを習慣化しましょう。

「きちんと更新している」という事実を定期的に示すことで、オーナーとの信頼関係を維持できます。年に一度、在留カードの写しを管理会社に提出するルールを自社内で設けておくと、抜け漏れが防げます。


③ 転職・雇用形態の変更時は在留資格への影響を必ず確認する 

就労ビザの多くは「特定の職種・雇用主のもとで働く」ことを条件としているため、転職や出向・派遣形態の変更によって在留資格の条件を満たさなくなるケースがあります。

変更が生じた際は速やかに行政書士または入管庁に確認し、必要な手続きを行いましょう。住居の賃貸契約にも影響が及ぶため、オーナーへの報告も必要になる場合があります。




第3章 第2節:第8位|初期費用・礼金制度への理解不足


日本賃貸住宅管理協会の調査によると、外国人が賃貸入居時に最も不満を感じる点として32.7%が「入居時の初期費用が高いこと」を挙げており、19.0%が「敷金・礼金・更新料など母国にはない費用を支払う必要があること」を指摘しています。


礼金・敷金・仲介手数料・前払い家賃など、日本独特の初期費用の仕組みは、多くの外国人にとって理解しづらい慣習です。「払う必要性がわからない」「返ってこないお金を払うのはおかしい」という感覚を持つ外国人も多く、契約後に費用をめぐるトラブルに発展することをオーナーや管理会社が懸念しています。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 採用前に住居の初期費用の目安を伝え、用意できる人を採用する 

初期費用をめぐるトラブルの多くは「こんなにかかるとは思わなかった」という驚きから生じます。採用のオファーを出す前の段階で、「居住エリアでの想定初期費用はおおよそ〇〇円〜〇〇円程度です」と事前に伝え、その費用を自力で用意できる状態にある人を採用することが、根本的な解決策です。

入国前に必要な資金を準備してもらうよう、海外の送り出し機関とも連携しておきましょう。


② 初期費用の意味・用途を母国語で丁寧に説明する 

採用が決まった後は、「敷金は退去時に返ってくる可能性があるお金」「礼金はオーナーへの謝礼で返還されないお金」というように、一つひとつの費用の性質を入居前に丁寧に説明することが重要です。

英語・ベトナム語・中国語など本人の母国語で作成した説明資料を用意し、書面で理解・同意を得るようにしましょう。


③ 来日直後の銀行口座開設を入居前にサポートする 

来日直後は銀行口座の開設が追いついておらず、振込で初期費用を支払えないケースが頻発します。

口座開設の手続きを企業・機関がサポートする、または初期費用の支払いに対応できる手段(現金持参・代理振込など)を事前に管理会社と確認しておくことで、スムーズな入居につながります。




第3章 第3節:番外 | 3人以上のルームシェア拒否が急増中


近年、外国人の住居確保において新たな壁として浮上しているのが、「3人以上のルームシェア」への拒否増加です。


外国人労働者、特に特定技能・技能実習の外国人が複数人でシェアハウスを利用するケースは珍しくありません。仕送りのために生活費を節約したい、同じ国籍の仲間と助け合いたいという理由から、3〜5人での共同生活を希望する外国人は多くいます。


都市部での入居率向上が、外国人のルームシェア拒否をさらに厳しくしている


かつては空室対策として「外国人でも」「複数人でも」受け入れてくれる物件が一定数ありましたが、近年は都市部を中心に賃貸物件の入居率が回復・向上しており、状況が大きく変わっています。

空室に悩まなくても日本人入居者が集まるようになったオーナーにとって、わざわざリスクを取って外国人の複数人入居を受け入れる理由がありません。


その結果、「外国人の3人以上のルームシェアお断り」という条件は、都市部ほど顕著になっています。 景気が良く空室が埋まりやすいエリアのオーナーほど、外国人への門戸は閉じやすくなっているというのが現在の実情です。


また、法的基準の観点からも、特定技能の外国人住居には1人あたり7.5㎡以上などの基準が定められており、単に人数を詰め込めばよいわけではなく、面積要件を満たす物件を確保する必要があります。

「安ければいい」という発想のままでは適切な住居が確保できないケースも出てきています。



人事・登録支援機関が取るべき対策


① 3人以上のシェアは現実的に困難と認識し、1人または2人での入居を基本とする 

「3人以上のルームシェアができる物件」を探すのではなく、外国人が入居できる物件の絶対数を確保する方向に発想を転換することが重要です。

1人入居、または最大2人の同居までを前提に物件を探し、それを法人契約(受入企業名義)で確保する形が、現在もっとも現実的なアプローチです。


② 外国人専用シェアハウスや法人向け寮スタイルの物件を検討する 

外国人専用に設計されたシェアハウスや、企業向けの借り上げ寮スタイルの物件は、複数人入居を前提とした契約形態になっているため、通常の賃貸と比べて入居のハードルが低くなっています。

レオパレスのような全国展開している業者も、法人向けの複数契約に慣れており交渉しやすい選択肢のひとつです。


③ 都市部の住居費は「一人あたり5万〜6万円」を現実的な目安として設定する 

かつて多くの登録支援機関が目安としていた「一人あたり3万〜4万円」という家賃水準は、都市部においてはもはや現実的ではなくなっています。

管理費などを合わせると、月々の住居関連コストは都市部で一人あたり5万〜6万円を想定しておく必要があります。

この金額を賄えるだけの賃金水準を確保できる雇用条件になっているかを、採用前に改めて確認することが重要です。外国人にとっても、採用前に「住居費がいくらかかるか」を明確に伝えることが、来日後のトラブル防止につながります。





まとめ:変わり続ける賃貸市場に合わせて、住居確保の戦略を見直す時代へ


外国人入居拒否の理由を整理すると、その多くは「悪意」ではなく「不安と情報不足」から来ていることがわかります。

家賃滞納、コミュニケーション不全、生活マナー、在留資格の問題——これらはいずれも、適切なサポート体制と情報提供があれば大幅に解消できるものです。


しかし同時に、日本の賃貸不動産市場そのものが変化していることも直視する必要があります。都市部の空室率の低下、民泊問題の余波による外国人への警戒感の高まり、入居可能物件の絶対数の不足——これらは「交渉力」や「熱意」で解決できる問題ではなく、住居確保の戦略そのものを見直すことが求められています。


支援機関による借り上げ転貸という従来の手法が通用しにくくなっている今、受入企業による法人契約の活用外国人本人の個人契約を支援する仕組みの整備、そして都市部の現実的な住居コストを前提とした採用条件の設計が、外国人採用を長期的に成功させるための鍵になっています。

住居の問題を「採用してから考える」のではなく、「採用計画の一部として設計する」発想への転換が、これからの時代に求められています。




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本記事の調査データは、法務省・厚生労働省・日本賃貸住宅管理協会・YOLO JAPANなどの公開調査を参考に作成しています。



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